ゴミ屋敷住人とのハチの巣騒動が意外な結末に!?

こころテラスではみなさまからいただいた片付け・ゴミ屋敷の体験談をご紹介しています。
今回は、ハチの巣騒動、ゴミ屋敷となった隣人とのエピソードです。

これは、私の母が実際に経験した「隣人とのゴミ屋敷問題」のおはなしです。

ある日、私の母がいつものようにベランダで洗濯物を干していると、どこからかハチが飛んできました。母は慌ててベランダを閉めたのですが、その日以降ハチは増えるばかり。
「一体どこからハチが飛んで来ているのだろう」と、ふと横を見ると・・・なんとお隣のベランダに大きなハチの巣が出来ていたのです!

ハチの巣騒動が、意外な方向へ・・・!?

母は急いでお隣さん宅へ行き、呼び鈴を鳴らしました。
お隣さんは60代女性の独り暮らし、毎日誰とも挨拶を交わさず、ご近所付き合いもなく引きこもり状態です。
そんなお隣さんが呼び鈴に応じるわけもなく・・・。しかし懲りずに母が毎日尋ねると、数日後にやっと出てきました。
母が事情を説明し、業者に頼んでハチの巣を駆除するよう伝えたのですが、出てきた答えは「業者であろうと絶対誰にも家には上げたくない!」とのこと。
そのとき母は、少しだけ開いた玄関ドアの隙間からチラッと中が見えてしまったのです。そこで目にしたのはまさしく“ゴミ屋敷”でした。

ゴミ屋敷となったキッカケは、住人女性の辛い過去にあった

一瞬見えた光景は、玄関ギリギリまでゴミ袋の山。靴箱の上には変色した新聞が山積み。廊下も物が散乱していて、それをまたがないと進めない状況・・・。
母曰く、お隣さんは常にベランダや窓を締め切っていたので、家の外からは“ゴミ屋敷”という状況が全くわからなかったそうです。
普通ならば、ご近所の風潮としてそんなゴミ屋敷の住人を「避ける」「排除する」となりますよね。しかし母には、お隣さんがゴミ屋敷になってしまった事情に心当たりがあったのです。
昔は、いつも朗らかにご近所さんとも挨拶を交わしていたお隣さん。しかしそんなお隣さんが急に引きこもりがちになったきっかけは、数年前の“ご主人の突然死”だったのです。
いつも仲が良かったご夫婦。お子さんはおらず、どこへ行くのも一緒でした。ご主人以外には身寄りも友人もいない様子に見えたそうです。しかし、そんな最愛のご主人が病気で亡くなってからお隣さんは一変しました。
事情を知っている母は、お隣さんのゴミ屋敷やハチの巣に関しても責める気持ちになれなかったようです。

ゴミ屋敷の住人に、母がとった意外な行動とは!?

しかし、ハチの巣は放っておくことはできません。なんとか業者を家に呼んでもらわないと、こちらにも危険が及びます。そこで母が取った行動は、「お隣さんと仲良くなる!」です。
何を今さら・・と思うかもしれませんが、恐らくお隣さんは身寄りや知人もいないので、ご主人の死後は誰とも会話をすることなく引きこもっていたのだと思います。
そこで母は、まずお隣さんが外出する機会を見計らって話しかけました。「いいお天気ですね」「〇〇のスーパーが安いらしいですよ」など、他愛もない話ですが、“誰かと会話をする”という習慣が当たり前になってほしかった、と母は言いました。
最初の内は、お隣さんもそんな母に対してそそくさと避けるように出かけて行ったのですが、母の声掛けが習慣化していくと少しずつお隣さんの反応が変わり始めたのです。
「・・・おはようございます。」と、ぎこちないものの挨拶をしてくれるまでになりました。
そんなある日、なんとお隣さんのほうから母に「ハチの巣でご迷惑をおかけして・・・すみません。ベランダにあると私も怖いので、業者を呼ぼうと思うのですがどこか良い所はありませんか?」と話しかけてくれたのです。母はすぐに業者を紹介し、その数日後、無事に駆除が完了しました。
引きこもりがちだったお隣さんは以前よりも外出する機会が増えたそうで、さらに驚きなのは、少しずつ自分からご近所さんに挨拶を交わすまでになったそうです。

ゴミ屋敷になる前のサインがある?

それからしばらく経ったある日。お隣さんの自宅前に大きなトラックが停まっていました。「まさか引っ越し?」と、不思議に思った母がその様子を眺めていると、なんとお隣さんの自宅からたくさんの大型ごみ、粗大ごみが次々と運ばれていきました。
そうです。お隣さんは自主的に、ゴミ屋敷の整理に取り掛かったのです。ご主人との思い出が詰まっているであろう家財も、一掃していました。
お隣さんの顔は、どこか清々しく見えた・・・と、母は話していました。
今回、ハチの巣騒動をキッカケに始まった小さなコミュニケーションは、確実にお隣さんの心に大きな変化をもたらしました。
何より、大きな問題に発展する前の歯止めになったのではとも思います。
近所間のゴミ屋敷問題は、ものすごくデリケートです。しかしうちの母の場合、このような事態は未然に防げたかも・・・と話しています。

ご主人が亡くなった後にどう声をかけて良いかわからず、お隣さんの精神状態にまでは目が行き届かず、どんどんふさぎ込むお隣さんを周りが放置した結果がこの“ゴミ屋敷”なのではないかと思っています。

ゴミ屋敷に住んでいる方の多くは身寄りがないなど、誰ともコミュニケーションを取らず孤立しがちです。

今の時代、簡単ではないと思いますが、ゴミ屋敷を「無視・排除」するばかりでなく、地域の住民が少しでも「話せる・協力し合える」関係性であれば、状況が大きく変わってくるかもしれません。

貴重な体験談をありがとうございました。
ゴミ屋敷となった隣人の方を整理に取り掛かるまでお声がけされ続けたお母様は、本当に素晴らしい方だと思います。大きなトラブルにならなくてよかったですね。
現在ではゴミ屋敷対策に積極的に乗り出す自治体もあるそうです。大変危険な場合もございますので、行政、専門業者に一度ご相談してみるのもいいかもしれません。

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