
部屋が片付けられない、掃除をしなければと思っても体が動かない。
そんな自分を責めてしまうことはありませんか。
しかし、その背景には決して“怠け”では説明できない、心身の不調や特性が関係している場合があります。
掃除が思うようにできないという日常のつまずきは、ときに病気や障害のサインとなって現れることもあるのです。
この記事では、掃除ができなくなる原因として考えられる心の病気や発達特性、認知機能の変化について解説し、適切な支援につながるための具体的な対処法を紹介します。
部屋の散らかりに悩む、掃除をする気力が湧かないといった状態が続くとき、単に「やる気がない」「だらしない」と片付けてしまうのは早計かもしれません。
もしかしたら、その背景には、ご自身の意思だけではどうにもならない、心身の不調や発達上の特性が影響している可能性があります。
日常生活を送る上で欠かせない掃除や片付けが困難になる原因は、実に多様であり、その中には専門的なアプローチが必要なものも含まれています。
ご自身の状態を深く理解し、適切なサポートに繋げるためにも、考えられる原因をいくつか探ってみましょう。
うつ病をはじめとする精神疾患は、思考や感情、意欲に大きな影響を与えるため、掃除のような日常的な活動を著しく困難にさせることがあります。
病状が進行すると、まず気力が著しく低下し、以前は当たり前に行えていた身の回りのことや、部屋の片付け・掃除といったタスクに対して、全く意欲が湧かなくなってしまいます。
また、強い疲労感や倦怠感に襲われ、体を動かすこと自体が大きな負担となり、ベッドから起き上がることもままならない状態になることも少なくありません。
さらに、集中力や注意力が散漫になることで、片付けの段取りを考えたり、一つ一つの作業を完了させたりすることが難しくなり、結果として部屋は散らかり放題になってしまうのです。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)やその他の発達障害の特性が、部屋の片付けや掃除を困難にする原因となることがあります。
ADHDの特性として見られる不注意は、作業中に他のことに注意が移りやすいため、掃除の途中で集中力が途切れてしまい、片付けるべきものがどこにあるか分からなくなったり、作業を完了できなかったりする状況を引き起こします。
また、多動性や衝動性によって、急な思いつきで物を動かしてしまい、かえって整理整頓が乱れることもあります。
さらに、実行機能の困難さから、物事を順序立てて計画し、実行に移すこと、そしてその状態を維持することが苦手であるため、計画的に掃除を進めることが難しく、結果として片付けられない状態が続いてしまうのです。
高齢化に伴う認知機能の低下、あるいは認知症の初期症状なども、掃除ができなくなる原因として考えられます。
記憶力や判断力、遂行機能といった認知機能が低下すると、まず、掃除を始めるための計画を立てることや、物事を順序立てて行うことが難しくなります。
例えば、どこから手をつければ良いか分からなくなったり、掃除の手順を忘れてしまったりすることがあります。
また、物事の重要度や緊急度を判断する能力が鈍ることで、部屋が散らかっていても「片付けなければならない」という意識が薄れたり、片付けを後回しにしてしまったりすることがあります。
その結果、掃除への意欲が失われ、徐々に部屋の管理ができなくなってしまうのです。

もし、掃除ができない状態が単なる怠慢ではなく、何らかの病気や障害に起因している可能性があると感じた場合、一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが非常に重要です。
病気や障害が原因であることが特定できれば、それに応じた適切な治療や支援を受けることができ、生活環境の改善へと繋がります。
ここでは、原因を特定し、具体的な対処法を見つけるためのステップをご紹介します。
まず、ご自身の状態が何らかの病気や障害によるものか、専門医の診察を受けて原因を特定することが何よりも大切です。
精神的な不調が疑われる場合は、精神科や心療内科の受診を検討しましょう。
かかりつけ医に相談し、専門医を紹介してもらうのも良い方法です。
問診では、掃除ができない具体的な状況、いつからその状態にあるのか、他にどのような症状があるのかなどを詳しく聞き取られます。
必要に応じて、心理検査や身体的な検査が行われ、うつ病、不安障害、ADHD、あるいは認知機能の低下など、原因となっている疾患を診断してもらえます。
正確な診断を受けることで、適切な治療計画が立てられ、病状の改善を目指すことができます。
医療機関で診断を受け、病気や障害が原因であると特定された場合、あるいは診断を受ける前であっても、公的な行政や福祉サービスを活用することができます。
お住まいの市区町村の役所にある福祉課や、地域包括支援センター、保健所などに相談窓口があります。
これらの機関では、専門の相談員が、病状や生活状況に応じて、利用できる支援制度について情報提供してくれます。
例えば、訪問介護サービスによる掃除や家事のサポート、発達障害者支援センターによる生活相談や就労支援、高齢者向けの配食サービスや見守りサービスなど、多岐にわたる社会資源があります。
これらのサービスをうまく利用することで、日常生活を円滑に送るための支援を得ることができます。
病気や障害によって掃除や片付けが困難な場合、専門的な知識や技術を持った片付け業者に依頼することも有効な手段です。
近年では、単に物を片付けるだけでなく、依頼者の状況や心理的な側面にも配慮しながら、整理収納をサポートしてくれる専門業者が増えています。
うつ病による気力の低下や、ADHDによる片付けの苦手意識、認知機能の低下による作業の困難さなどを理解し、寄り添いながら、無理のないペースで作業を進めてくれる業者もいます。
まずは、ウェブサイトなどで情報を収集し、お住まいの地域に対応している業者に問い合わせて、見積もりやサービス内容について相談してみましょう。
専門家のサポートを受けることで、物理的な問題の解決だけでなく、精神的な負担の軽減にも繋がります。

掃除ができない、部屋が片付かないといった状態が続く場合、それは単なる怠慢ではなく、うつ病などの精神疾患、ADHDや発達障害、あるいは認知機能の低下といった、病気や障害が原因となっている可能性があります。
ご自身の状態を深く理解するためには、まず医療機関を受診し、専門医による正確な診断を受けることが第一歩となります。
病気や障害が原因であると判明した後は、行政や福祉サービスに相談し、利用できる公的な支援制度を活用することが大切です。
さらに、専門の片付け業者に依頼することも、物理的な環境改善と精神的な負担軽減に繋がる有効な手段です。
一人で悩まず、これらの専門的なサポートを積極的に活用することで、掃除や片付けの困難さを乗り越え、より快適で安心できる生活を取り戻すことがきっと可能になるでしょう。