
賃貸物件でカビが発生すると、退去時の原状回復費用について悩むことはありませんか。
清潔に保ちたい気持ちと、予期せぬ出費への不安が交差する時期かもしれません。
カビの発生原因は様々ですが、その費用負担の責任は、建物の状態や入居者の使い方によって変わってきます。
今回は、国土交通省のガイドラインなどを参考に、カビによる原状回復費用の負担について、原因と費用の相場、そして確認すべきポイントを詳しく解説します。
賃貸物件の借主には、借りた物件を善良な管理者として注意を払って使用する「善管注意義務」があります。
カビが、この義務違反(例えば、結露を放置した、換気を頻繁に行わなかった、浴室などの掃除を怠ったなど)によって発生・拡大したと判断される場合、その修繕費用は借主負担となることがあります。
一方で、建物の構造上の問題(断熱性能の低さ、結露が避けられない構造、雨漏りなど)や、備え付けの設備の不具合(換気扇の性能不足や故障など)が原因でカビが発生した場合は、原則として貸主が費用を負担します。
建物の性能や設備に起因するカビは、借主の管理努力だけでは防ぎきれないためです。
カビの発生原因が借主の責任にある場合でも、費用の負担割合は、建物の経過年数(入居年数)を考慮して決まります。
国土交通省のガイドラインでは、壁紙などの内装材には耐用年数が定められており、入居年数が経過するほど、たとえ借主に一部過失があっても、借主の負担割合が軽減される考え方が示されています。
これは、建物の価値は時間の経過とともに自然に減少するという考え方に基づいています。

壁紙に発生したカビの修繕費用は、カビの浸透度合いによって大きく異なります。
軽度であれば専門業者によるクリーニングで対応できる場合があり、その費用は1平方メートルあたり1,500円~3,000円程度が目安です。
しかし、カビが壁紙の裏側まで達し、張り替えが必要な場合は、一般的な6畳の部屋で4万円~7万5千円程度が相場となります。
この場合も、前述の通り、経過年数を考慮した負担割合となります。
浴室や洗面所などの水回りのカビ除去は、専門業者に依頼すると1万2千円~2万5千円程度が相場です。
特にコーキング部分のカビは、打ち替えが必要になる場合があり、追加で5千円~1万5千円程度かかることがあります。
エアコン内部のカビ清掃は、機種によりますが、通常タイプで8千円~1万4千円程度、お掃除機能付きで1万4千円~2万円程度が目安です。
エアコン内部のカビは、借主の善管注意義務として、定期的なメンテナンス(フィルター清掃や運転後の送風乾燥など)が求められる場合があります。
賃貸物件でカビを発見した場合、借主には貸主や管理会社へ速やかに報告する義務があります。
これは、カビの発生原因が建物の構造にある場合でも同様です。
報告を怠り、カビが拡大してしまった場合、その拡大した範囲については借主の責任を問われる可能性もあります。
早期の報告・相談は、トラブルの未然防止や、費用負担の軽減に繋がることもあります。

賃貸物件でのカビによる原状回復費用は、カビの発生原因が借主の過失(善管注意義務違反)か、建物の構造や設備不良かによって、費用負担の割合が変わります。
さらに、借主の負担となる場合でも、建物の経過年数を考慮して負担額が軽減されるのが一般的です。
日頃からの適切な清掃・換気といった管理(善管注意義務)と、カビ発見時の迅速な報告が、退去時のトラブル回避の鍵となります。
もし請求内容に不明な点や納得できない点があれば、まずは貸主や管理会社と冷静に話し合い、必要に応じて専門家や公的機関への相談も検討しましょう。